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Yoh & Ricky Short interview

Q.廃材家具について教えてください

ヨウ：古いお家を壊した時に出てくる木たちは、とても強く美しいんですが、捨てられたり、燃やされているのが現状です。
そんな廃材を使って、子供にも大人にも木の美しさ、大切さを知ってもらい、次の世代まで大切に使ってもらえるような、可愛くて丈夫な家具を製作しています。

リッキー：どんな木だって、普通は、ほとんど一回きりの運命。
でも、私達に出会うから、再び活かされる。
そんな新しい運命をつなげる家具。
心惹かれる、愛されながら生活に溶けこんでいく、そういう家具です。
古い木ほど、みがけば素晴らしい光沢が出てくる。
廃材、というと何か古ぼけたような、マイナスイメージを持つ人もいるけど、とても綺麗でステキなものなんだという事を知ってほしい。

リッキー：廃材家具とは木の命のバトンタッチ、いのちのリレー、という感じやな。
ヨウ：そうやね。

Q.工房”エンジェルのために”の名前の由来とは？

ヨウ：当時2歳になる娘、麟（リン）のために、はじめて作った机や椅子。
そこに腰掛ける姿が愛らしく、天使のようだったので、工房”エンジェルのために”と名づけました。

Q. 工房の裏の鎮守の森ですが、トトロの森と呼ばれているそうです
ヨウ：トトロの出そうな森ということで、いつのまにかそう呼ばれるようになりました。念のため、スタジオジブリさんにも確認をしたことがありますが、そう呼んでも特に問題ないでしょうと、言われています。
ジブリさんといえば、以前、たくさんの椅子の注文をいただいたことがありました。でも、私たちは同じデザインで大量生産するということをやっていませんので、結局、そのお話は流れてしまったんです。

Q.阪神淡路大震災で被災されたことが創作活動の原点になっているそうですね
ヨウ：一瞬にしてなにもかもを失った街を見て、もう物はいらない。夢だけ追っていこう、と思いました。20歳のころ、画家になりたかったけど、日々の生活の中で忘れていた。奈良に来て、はじめは水道もないので消防署へ水をもらいに行ったり、家も一から手作りする生活をする中で、ものづくりの楽しさを思い出しました。
※注　自宅　兼　工房「エンジェルのために」はリッキーさんの手で、神社の古い社務所を改装して作られました
リッキー：あの日の体験が、我々のすべての原点です。僕らの車のナンバーも、あの日にちなんだ数字なんです。

Q. NPO法人「アトリエマーケット」を主催されているそうです
ヨウ：文化芸術、まちづくり、子供の健全育成、国際協力、等の分野で活動しています。2000年2月に特定非営利活動法人として、奈良県内で7番目に認定されました。主婦5人ではじめたんですが、3年足らずで600人を超える会員数になりました。この工房には毎日のように、ものをつくるのが好きな人が集まってきます。まるで鎮守の森のお稲荷さんがおいでおいでと言ってるように、人が訪れてくるのです。

リッキー：「楼閣を仰ぎ　野の風に吹かれていると　心は迷い　いにしえを旅する　人はものを創り　生活を立て心を　分かち合いながら　時の流れを渡ってきた　すでに　打ち捨てられた　ものに眼差しを向け　手に取った瞬間　再び命が吹き込まれる　心惹かれるものに出会うため　時空を超えて　私たちは創る」
これはアトリエマーケットの理念だけど、家具を作る時もこの気持で作ってます。

Q.これまでに製作された家具は数百点にのぼると聞きました
リッキー：一日でも長く愛用して欲しいという気持ちから、万一壊れたら無償で修理しています。
廃材を再生して喜んでもらうこれまでのスタイルを続けていきたいね。

Q.「既製のものにないあたたかさを感じる」「見ているだけで癒される」という評判です
ヨウ：娘が嫁ぐ時まで大事に使って欲しい、という思いで作って来ましたが、物を大事にする心を多くの子供に伝えてくれたら、廃材家具の意義はあると思います。
リッキー：展示会で作品を見て、思わずほおずりしたり、涙を流すお客さんもいるんです。「こういう家具が欲しかったんだ！」って。運命の出会いというか、作品も、行き先を自分で選んでいるんだな。

ありがとうございました（聞き手/文章構成　いち屋）